【妻のウワキ】1/3さっき非通知で電話がかかってきた。女性が非常に緊張しながら「…○○さんのご主人ですか?…奥さんウワキしてますよ」だって《不安心理◆xI1NYWPC0DyO》



419: :2010/10/19(火) 19:10:35 ID:
月曜は会社に向かうために、家を出た瞬間から、急にどうしようもない不安感に襲われた。 
会社に着いても不安感からくる胃のむかつきは収まらず、
それどころか俺がこうして会社で働いている今、 
まさにその瞬間にも、
妻が他の男に抱かれているかもしれないという強迫観念が増すばかりで
苛立ち、ささくれ、 いてもたってもいられなくなり、
結局、極度の体調不良を理由に、昼前には退社した。 
実際俺の様子は尋常ではなかったようで、
早退を申し出た上司に「おい、大丈夫か?無理するな」と言われる始末だった。 
俺は会社を出ると、せき立てられるように早足で駅に向かい、
発車間際の列車に飛び乗った。 
6区間、約20分ほどの時間で列車が俺の地元駅に着くと、
商店街を抜け、男のマンションに向かった。 
真っ先に駐車場を探した、あった。 
男のシルバーのメルセデスは止まっていた、部屋にいるということだ。 
この間の喫茶店は営業していて、店内に入ると、さすがに昼時で、作業員姿の二人組と、 
くたびれたスーツを着た40代のサラリーマンが食事をしていた。 
幸い窓際の席は空いていたので、俺はそこに座り、コーヒーを注文した。 
店内は、4人掛けのテーブルが5セットと、
事実上客が使うことはないだろう状態のカウンター席が4つ 
小ぢんまりとした造りで、50代とおぼしき女性が一人で切り盛りしている。 


420: :2010/10/19(火) 19:11:28 ID:
結局午後3時を回っても、男も妻も出てはこなかった。 
俺はあの時間にいったい何を考えていて、何をするつもりだったのか? 
今もはっきりとはわからない。 
ただ、時簡になっても正面玄関から現れない妻、
その光景が見たかっただけだったのかもしれない。 
冷静に考えれば、たまたまその日は違っただけのことで、
依然として妻の疑惑が晴れたわけではないのだが。 
それでも俺は、午前中のどうにも救いのない状態からは抜け出して
、反動からか、少し楽しい気分になった。 
俺は妻を心配させないように、適当に時間を潰して、いつもの時間に帰宅した。 
お土産に、駅前にある地元の住人の間では人気のある洋菓子店でケーキを買って。 
家に帰ると、いつものように、妻と娘が玄関で出迎えてくれた。 
お土産だよと言って、ケーキを妻に手渡すと、
娘は大喜び、妻は「どうしたの、なんか良い事あったの?」 
とニコニコしながらも
「お小遣い少ないんだから、無駄遣いしないでね」と一言を忘れない。 
夕食は娘の大好物のカレーだった、
娘の味覚に合わせて超甘口なので、俺は少し苦手だ。 
妻の目を盗みつつ、唐辛子を大量にふりかけていたら、すかさず妻に注意された。 
「もう、止めてよね、そんなことしたら味が滅茶苦茶になるでしょ、
○梨がもう少し大きくなったら辛いの作るから」 
夕食が終わり、家族でケーキを食べながらテレビの子供番組を見ていると、
娘があくびをし始めた。 
その日は、俺が久しぶりに娘と一緒に風呂に入り、
妻に代わって眠るまで本を読んだ。 
娘は何度か、「ママのほうがいい」と文句を言いながらも僅かな時間で眠りについた。 
俺が居間に戻り、妻が後片付けを終えて風呂に入って少し経った時に、
A田から電話があった。 
そして、俺の短い、平和な幸せの時間は終わった。 


421: :2010/10/19(火) 19:12:22 ID:
その時のA田は最初から口が重かった。 
俺ももちろん何もなければ掛かってくるはずがないことはわかっている。 
矢継ぎ早に何があったと催促する俺に、A田はためらいながらボソボソと話しを始めた。 
言葉を選びながら話すA田に苛立った俺が、
「その相手はなんて言ってたんだ?はっきり聞かせてくれ」 
そう言うと、A田は短いため息をついて
「じゃあ話すけど、冷静に聞けよ、嫁さんには明日話せ、今夜は止めろ」 
と忠告した上で話しを始めた。 
「その女の話は7月ぐらいにあいつから聞いたことあるよ」 
「なんか変な自慢してたぞ、結構どMで、
駐車場でキスしながら弄ると、すぐにトロトロにするとか」 
「乳は大したことないけど、すげー濡れるし、子供産んでるわりにあそこは具合がいい」 
「もう一人の女より若いから肌がうんぬん」 
あの男は、まだ他にも下品な表現で、
妻の体や反応について、いろいろ言っていたようだが、途中から俺の耳には入らなくなった。 
というより頭が言葉を理解することを拒んだ。 
その後、A田が何を言い、どう締めくくって電話を切ったのか記憶が定かではない。 
俺はしばら放心して、ただボーっと居間の椅子に腰かけていた。 
しばらくして水が欲しくなり、
キッチンの流しに行くと、電子レンジの前に置き忘れられた、 
妻の携帯の、メールの受信を告げるライトが点滅していた。 
俺が携帯を手に取り、新着メールを開くと 
「…それから言い忘れたけど、
明日はなるべく短めのスカートで下着はつけてこないこと…」 
ふざけた感じのこんな内容が目に飛び込んできた。 
それまでお互いやりとりしていたのだろうが、
それ以前のやりとりは消されていてわからない。 
明日か、明日俺の妻を抱く気なんだ… 
殺意に近い感情が芽生えた。 


422: :2010/10/19(火) 19:14:23 ID:
妻が風呂からあがってパジャマに着替え、居間に入ってきた。 
「○貴、話があるから座ってくれ」
「なあに?」と言いながら少し不審そうな感じで妻が俺の向かい側の椅子に座った。 
「おまえ、浮気してるよな?」瞬間ハッとして俺を見た妻は、
目が合うとスローモーションのようにゆっくりと、 視線を外してうつむいた。 
何十秒間かの沈黙の後で俺は「全部わかってるから話せ、おまえの口から聞きたい」 
しかし妻はうつむき、固まったまま何も言わない。 
「相手はスポクラの○○って男で、初めて抱かれたのが6月の17日だろ?」 
「それで明日も、あいつに抱かれるつもりだったんだろ?」 
そこで再び妻がハッとして俺を見た、その、妻の追い詰められ、
おびえた目を見た瞬間に俺の感情が爆発した。 
「…おまえ…なにやってんだ!」つい大声になってそう叫ぶと、
俺は妻に歩みより、左手で妻の頬を思い切りビンタした。 
鈍い音の一瞬後、妻は叩かれた頬をかばうようにしながら
「…ごめんなさい…ごめんなさい」と繰り返し、静かに泣き始めた。 
俺はこれまで妻を叩いたことなど一度もない、こんな瞬間がくるとは。 
「それでどうするつもりだ、俺とわかれてあいつと一緒になるか?」 
妻が少し泣きやんだころにそう聞くと、
妻は「…あなたは、どうしたいの?」と問い返してきた。 
「俺はおまえがどうしたいのか聞いているんだ、俺と娘を裏切ったのはおまえだろう?」 
「それに、おまえがあいつと一緒になりたいなら、俺に選択肢なんてないだろう」 
俺がそう言うと、少し間をおいて妻は「…離婚はしたくない、出来るなら」 
「あなたと別れても、あの人と一緒になる気はないから」 
「ならあいつと別れるのか?」 
うつむきしばらく考えた後に妻は「うん…別れるから少し時間をくれない?」 
「会ってちゃんと話さないと、あの人可哀想な人だから」 


423: :2010/10/19(火) 19:16:02 ID:
妻はいったい何を言っているんだ?
可哀想なのは俺で、あいつじゃないだろう、俺は再び妻に怒鳴った。 
「ふざけるな、時間なんてない、別れるなら今だ、今すぐあいつに電話しろ」 
「俺はその後であらゆる手段であいつに復讐するから」
俺が怒りに任せてそう言うと妻は、 
「止めて、悪いのは私だから、あの人に何かするなら、私、死ぬから」 
情けない話だが、その言葉を聞いて、
俺の中で妻に対する愛しさとか、ある種の執着心のようなものが込み上げてきた。 
俺は妻を強引に抱きしめながら言った
「おまえはあんな男のために死ぬって言うのか?娘や俺はどうなる?」 
妻は俺にしがみつき「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も繰り返しながら、
声を上げて泣きじゃくった。 
ひとしきり泣いた後に妻は「明日の朝に電話して別れる、もう二度と関わらない」 
「だからあなたも、復讐とかそういうことはしないで」と懇願した。 
俺は妻に、男との始まりからの全てを話すことを条件にしぶしぶ了承した。 
土曜に見た、あの男の他の女の話をしようか何度も迷ったが、
結局これ以上妻を悲しませたくなくて、黙っていた。 
冷えてきたので、寝室に移動して、妻の話が始まった。 


426: :2010/10/19(火) 19:18:49 ID:
4月の初めに、妻がスポクラに入会すると、いくつかのプログラムで男と一緒になった。 
何度か顔を合わせていると、男は話かけてくるようになった。 
他の女性会員たちの間では、いくつかのグループが出来上がっていて、
派閥っぽい感じになっていたらしい。 
そういうことが元々苦手な妻は、
自然-に、いつも話しかけてくる男と話す機会が多くなっていった。 
男は古参だけあって、始めたばっかりのエアロビでステップについていけない妻に、
親切に教えてくれたり、 
人気のあるプログラムなんかを紹介してくれたり、
いろいろとマメにフォローしてくれたらしい。 
男は年齢こそ妻や俺よりは上だが、言葉が優しく中性的な印象があり、 
あまり男性を感じさせないところが話しやすかったと妻は言っている。 
5月に入り、母の日の数日前に、妻が着替えを終えて帰ろうと、
店外に出たところで男に声をかけられた。 
男はニコニコと頬笑みながら
「○貴さんもお母さんなんだよね、つまんないもんだけど母の日のプレゼント」 
そう言って、包みを差し出した。 
驚いて「ええ、そんなの頂けませんよ」
と言う妻に男は「つまんない物だから気にしないで」 
「それに俺、あんまり母親にあげられなかったから」と寂しげに言ったそうだ。 
なんとなく返せない雰囲気と、男の言葉が気になっていたところで、
ショッピングセンター内の喫茶店に誘われる。 
プレゼントを受け取ってしまったこともあり、
コーヒーぐらいならと思い、妻は付き合うことにする。 


427: :2010/10/19(火) 19:19:55 ID:
喫茶店で、男に手渡された包みを開けると、
中からは、そこらでは売っていない超有名ブランドのエプロンが出てきた。 
数万はするそうだ、驚いている妻に男は、
照れ笑いを浮かべながら「ちょっとベタだよね、母の日にエプロンじゃ」 
「まあでも、それで娘さんや旦那さんに美味しい料理つくってあげて」 
「そういうの、俺の憧れだから」 
男はもともとは、市内北部の地主の家の生まれで、
兄弟は無く、両親、祖母の5人で暮らしていたらしい。 
小学4年の時に父親が交通事故で亡くなり、
その後、もともと祖父母と折り合いが悪く、鬱の気があった母親も、 
男が小学校6年の秋に自◯してしまったらしい。 
男は祖父母に溺愛されて育ったようだが、
母親を自◯に追いやった祖父母を憎んでいたそうだ。 
就職して2年後に、最後に残った祖母が他界すると、
男は自分が生まれ育った家を二束三文で叩き売ったらしい。 
「あんな呪われた家、無くなってせいせいした」 
そんな重い話を淡々とする男と、自分も早くに母親を亡くしている妻は、
泣きじゃくっていた弟の姿が重なってしまい。 
ある種のシンパシーのようなものを感じてしまったようだ。 
その日以降、少し甘えた態度を見せ、
嬉しそうに懐いてくる男をだんだんとほっておけなくなって行った。 
男は話を聞いて欲しいからと、ちょくちょくお茶や食事に誘うようになり、 
妻が言うには「断ると、すごく傷つく人だから…」 
メールアドレスも携帯の番号も男に聞きかれて、それでも心のどこかで、
教えちゃダメだと思いながらも結局拒めずに… 
そんな感じでズルズルと深みに嵌って行ったようだ。 


428: :2010/10/19(火) 19:20:45 ID:
6月17日は男の誕生日、妻は男に母の日の高価なプレゼントの、
ある意味の「借り」を返そうと思い、何が欲しいか尋ねた。 
男は「じゃあ○貴さんの手料理かな、
俺はそういうのに飢えてるからね、俺の家でなんか作ってよ」 
そう答える男に、さすがにまずいと思ったらしい妻は、
自宅で作った料理を男のマンションまで持っていくと答えた。 
男はあっさりと「ほんと、じゃあ楽しみに待ってる」と応じる。 
当日昼直前に男の部屋の前で、料理を手渡して帰ろうとする妻に男がこう言った。 
「今から食べるから、食べ終わるまで付き合ってよ、
せっかく作ってきてくれた料理だけど、一人で食べたら意味ないじゃん」 
「お茶入れるから、飲んでって」 
ためらう妻を残して男は、さっさと部屋に入ってしまったらしい。 
しかたなく妻は男の部屋に入る。 
警戒している妻を前に、男は大げさに、楽しそうに妻の作った手料理を食べる。 
嬉しそうに食事を取りながら、楽しそうに話す男の様子になぜだか妻は安心したらしい。 
こんな話を、妻が積極的にしたわけでは決してなく、
嫌がり、沈黙する妻を俺は、脅し、すかして無理やりさせた。 
怯えながら、ためらいながら、苦しそうに辛そうにそれでも妻は話した。 


430: :2010/10/19(火) 19:23:27 ID:
男が食事を終え、妻が男に別れを告げて玄関に向かった時に、
いきなり男が妻を抱き寄せた。 
必死で抵抗する妻を男は押し倒し、
好きだと告げ、何度も懇願する「お願いだから」。 
戸惑いと、ある種の憐れみから瞬間妻の体から力が抜ける。 
しかし、着衣を1枚剥ぎ取られるごとに、危機感と恐怖から抵抗する妻 
男は抵抗する妻に、人が変わったように「じっとしてろ」と怒鳴りつけ、
次の瞬間には「お願いだから」と懇願を繰り返す。 
全ての着衣を剥ぎ取られ、全裸にされた時には、
妻はもう精神的にも肉体的にも疲れ果て、抵抗する気力を失っていた。 
男が入ってきた瞬間、妻は自分の中で何かが終わった気がして、
涙が止まらなかったと言っていた。 
泣きながら壊れた人形のように無抵抗になった妻の中で終わると、
男は、自分も泣きながら、 
「ごめん、ほんとうにごめん、でもわかって、俺には○貴さんしかいないから」 
そう何度も繰り返し「○貴さんはおれのそばからいなくならないよね」
と子犬のような視線で妻を見つめる。 
妻の胸に顔をうずめて、甘えるように縋るように見つめる男を見ながら、
妻は思ったそうだ。 
「この人は、弱い可哀想な人、私が守ってあげなくちゃ」と。 
こんなチンケな手で妻は落とされたのか、
そう思うと俺は怒りと悔しさで妻を怒鳴りつけたい衝動に駆られた。 
しかし、これまでの人生で俺とのたった一度の恋愛しか経験したことのない妻には、
どうすることも出来なかったのかも知れない。 


432: :2010/10/19(火) 19:25:07 ID:
家に帰り、幼稚園から帰ってきた娘をみて妻は、急に現実感に襲われ、不安と恐怖に、 
「どうしよう、どうしよう…」あまりの後悔に苦しくて、何度も吐いたそうだ。 
帰ってきた俺とまともに目を合わせられなかっと言っていた。 
しかし、妻のそんな様子に気がつかない俺に、自分の身にその日起こった出来事を、 
正直に全て話そうと半ばまで決心していた妻の決意は、急速にしぼんでしまったそうだ。 
不安で眠れない一夜を明かし、結局俺に言えないまま妻は、
その出来事を自分の胸にしまいこむことにする。 
俺は正直その日の妻の様子について全く記憶がない。 
その日の妻の必死のSOSのサインに気づいてやれなかったことが、今更ながら悔やまれる。 
そのころから妻は、夫である俺にとって自分の存在はなんなのだろうとか、
時々考えるようになったらしい。 
自分は俺にとって、娘の母親で、家族というパズルの1ピースにすぎないんじゃないかと。 
そんな俺と違い、男は自分の存在そのもの求めてくれる、
自分がいないとあの人はダメになってしまうかもしれない。 
必要とされている、私が守ってあげなくちゃ、あの人は弱い人だから。 
そうして、すがり付くように自分を求める男に妻は溺れて行く。 
俺以外の男に一度でも抱かれてしまったことで、
妻は、もう自分は汚れてしまった、汚れてしまったのだから後はどうなろうと同じ。 
半ば捨て鉢な気持ちになって、
拒めば人が変わったようになって激怒する男の求めるままに、体の関係を繰り返し、 
夫である俺に対する嫉妬から、
さまざまな行為を強要するようになる男の、なすがままに抱かれた。 
男のSEXに溺れたとかそんな話ではないそうだ、そんな関係になりながら、
それでも妻は性的な関係がなければと、いつも願っていたらしい。 
そんな話を聞かされて俺は、たまらなくなって妻を求めた。 
今夜はやめてと懇願する妻を裸にして、
必死で愛撫した、濡れない妻に怒り、気持ちと裏腹に勃たない自分に絶望した。 
妻に対する、執着と、怒りが交互に訪れて、俺も妻もほとんど眠れない一夜を過ごした。 


434: :2010/10/19(火) 19:26:03 ID:
今朝妻は、俺が見ている前で男にメールした、
主人にわかってしまったからもうこれ以上続けられないと。 
それに対しての男からの返事は、「そうなの?仕方がないね、少し時間を空けよう」 
と言う簡単で緊張感や、真剣さのかけらも感じられないもの。 
さらに、もう会えないと返信した妻に、
「わかった、じゃあしばらくは連絡しない」とふざけた内容の返信をしてきた。 
そんなやりとりに対して不満そうな俺に、
もう二度と会わないから大丈夫とむりやり笑む妻。 
妻は、決して嘘つきな人間でも、嘘の上手な人間でもない。 
不安げな妻の様子を見ているだけでわかってしまう、これで終わりなどではないことが。 
俺が直接男と対峙して決着をつけることが、一番簡単な解決であろうことはわかっている。 
しかし今はやめる、もし今そうすれば、
俺と妻の間に何かしらの、決定的な溝ができてしまうような気がするから。 
俺はゆうべ何度も妻に聞いた、あの男のことを愛しているのか? 
妻は考え込みながら
「少し違うような気がするけど、でもそうなのかも知れない」と答えた。 
じゃあ俺のことは愛していないのか?と聞くと妻は、 
「愛している、でもあんまりにも長く一緒にいるからそれがわからなくなってた」
と言った。 
男について妻はさらに続ける。 
「あの人は不幸な出来事のせいで、心のどこかが壊れてしまった可哀想な人」 
「普通の女性じゃあの人と長く一緒にはいられない、だからあの人はいつも一人」 
自分ぐらいしかあの男のことを受け入れられないだろう、だから自分がいてあげないと。 
そう妻は思ったそうだ。 
「でも、あなたを失わないことが前提でしか、
あの人との関係は成り立たないことがわかった」 
そう告げる妻に俺は、言葉にすることなくつぶやいた。 
「おまえにはあの男の正体がわからないのか」 



 

674: :2010/10/22(金) 19:35:40 ID:
妻と俺の不器用な日々が始まった。 
俺は男の影に怯えながら毎日妻を求め、妻は一生懸命に応じる。 
俺は過激な行為を次々と要求し、妻は一生懸命に応じる。 
時々不安定な感情から激しく妻を問いただす、そんな時妻はよく泣く。 
時々無性に妻が愛しくなり強く抱きしめる、そんな時妻は困惑している。 
毎日何度も昼間に家に電話しては妻の在宅を確認し、
家に帰れば真っ先に男からの連絡の有無を確認する。 
毎日妻は男からの連絡は無いと答える。 
あの後すぐに妻はスポクラをやめ、
メールアドレスを変更して、男の電話は着信拒否にしてある。 

その日俺が家に帰ると、
妻にPCを使ったヤフーメールでの男とのやり取りを見せられた。 
かなりの数があったが、内容を要約すると、
妻との関係の継続を、寂しいという言葉を武器に必死で求め、 
とにかく直接会って話がしたいと迫る男に対して、
俺をもう悲しませることは出来ない、 
もう二度と会わないから、自分のことは忘れて欲しいと、
宥めすかしながらも突っぱねる妻。 
最後は男のすねて怒った感じの
「じゃあもう終わりってことだね、もう連絡しない」という返信で終わっている。 
妻は俺に「隠れてメールしてたことは悪かったけど、
ちゃんと話して終わりにしたかったから」 
「でも、あの人も納得してくれたし、終わったから安心して」 
俺にしてもあの朝のメールで片がつくとはとうてい考えていなかったし、
妻が何らかの形で連絡してることは想像していたので、 
あえて怒りはしなかった、
ただしかし、これで終わったともまた思えなかった。 


675: :2010/10/22(金) 19:37:05 ID:
昨夜残業で遅くなり、帰ったのは9時近かった。 
家に入ると妻が蒼白な顔で居間の椅子に座り込んでいた。 
俺がその尋常でない様子に「どうしたんだ?何があった」と声をかけると、
しばしの沈黙の後、妻は唇を少し震わせながら話し始めた。 
1時間ほど前に、男から、とにかく一度でいいから直接会って話がしたいとメールがきた。 
さすがにうんざりしたらしい妻が、
少し強い調子で、主人には全て話したし、メールも見せてる、
もう二度と会うつもりはないので連絡しないで欲しいと返信したところ、
急に男が激昂したようで、 
「おまえ、俺のメールを旦那に見せたのか!ふざけるんじゃねーぞ!
俺を裏切ったなおまえ、今からおまえの家行くから待ってろ!」 
この、男からのメールを見て妻は怯えていたようだ。 
「あの人すぐにキレちゃう人だけど、
今までこんな汚い言葉で罵ったりしたことなかったのに…」 
そうつぶやく妻に俺は「あいつぶっ殺してくるから少し待ってろ」と告げ、
玄関に向かって歩き出した。 
妻は突然立ち上がり、俺の背中にしがみついて「やめて、お願いやめて」と必死で叫ぶ。 
俺は怒りのあまり、爆発した。 
「おまえはまだあの男を庇うつもりか、あいつはおまえ以外にも他に女がいるんだぞ!」 
ハッとして、瞬間少し目を見開き、低い声で妻は言った。 
「…どういうこと?」 
俺は妻に土曜に男のマンションで見た光景を話した。 


677: :2010/10/22(金) 19:39:32 ID:
俺の話が終わると妻は、視線を落とし、低い声のままで話し出した。 
「…やっぱりな、おかしいと思ってたんだよね…」 
男との関係が深まっていくと、ふとした拍子で男の影に、
他の女の存在が感じられることがあり、しだいに妻は疑心暗鬼になって行く。 
男の部屋の洗面所にわざと置いてきたハブラシや、
ベッドの下に置いておいたストッキングが、次に行くときちんと片付けられている。 
寝室の床で、明らかに自分のものではない女性の髪を見つけたこともあった。 
大きな罪悪感に責めさいなまれながらの、
心の壊れた男との関係は、妻にとって時折耐え難く辛いものであり、 
何度も逃げ出そうとして別れ話を切り出したが、
その度に男に無理やり引き戻されるの繰り返しだった。 
妻は思ったそうだ、もしも男に自分以外に付き合っている女性がいるなら、
今度こそ気持ちに整理をつけて終わりに出来ると。 
しかし何度男に正直に話して欲しいと懇願しても、
男は頑として認めず「俺には○貴さんしかいない」と繰り返すばかり。 
逆にどうして自分を信じないのかと詰め寄る男のことを、
どうしても信用できなかった妻は、なんとか確証を掴もうとしたが上手くいかなかった。 
「なんだ、そんなに簡単にあいつの尻尾をつかまえられたんだ…私もやればよかった…」 
男の呼び方が「あの人」から「あいつ」に変わった妻、ただそれでもなんだか物憂げで、 
なんとなく寂しそうな様子に俺は心が痛かった。 


679: :2010/10/22(金) 19:41:20 ID:
妻の独白は続く。 
男には躁の状態と鬱の状態が交互に不規則に訪れ、突然怒りだすことがしばしばあった。 
関係が始まった頃にはそれほどでもなかったようだが、
深まるにつれてどんどん酷くなって行く。 
それで何度も激しい喧嘩をして、何度も別れようと思い、別れを告げる。 
しかし、一週間も経たないうちに、
泣いて必死で謝り、まるで小さな子供のように自分を求める男に結局ほだされる。 
その繰り返し、次第に妻の中にある種の諦観が生まれていく
「この人は可哀想な人だから」 
男は時には自虐的に、悲しそうに
「俺はどうしようもない男だよね、自分でもわかってる、
○貴さんにはほんと悪いと思ってるよ」 
「でもさ、母親の血かな、どうしようもないんだよ」
と激しく落ち込むこともあったらしい。 
妻は激しく怒った男に何度か聞いたことがあったそうだ
「そんなところをみんなに見せているの?」 
そう聞く妻に男は
「親しい人だけ、俺は不器用だから
ほんとに信じた人にしか本当の自分を見せられないんだ」 
妻が言うには、あの男のことをどうしても信じられなかった反面、疑いきれなかったのは、 
「こんな男と一緒にいられる女性は私ぐらいしかいない」と、そう思ったからだそうだ。 
「なんでそんな奴がよかったんだ」と聞いた俺に妻は 
「よかったとか、そういうのじゃ無かったと思う、
でもあいつ凄い悲しそうに泣くの、
死んじゃいそうな感じでさ、それ見せられちゃうとね…」 


680: :2010/10/22(金) 19:42:25 ID:
少し遠い目の妻に俺は、A田に教えられた、
妻と恐らくしばらくの間三角関係にあったと思われる人妻の話を切り出した。 
妻は少し目を伏せ、何故か話したく無さそうな様子で言葉少なく話した。 
「あの人ね、知ってたよ、結構綺麗な人みたいね、でも自己中心的な人だったみたい」 
「あいつがもう終わりにしたいって言っても、簡単に終わらせてくれなかったって」 
「最後の頃にはストーカーみたいになって、脅してきたりしたってあいつこぼしてたよ」 
「あいつとその人の間のことだから私は詳しいこと知らないけど」 
それだけしか言わない妻の目が、なんだか少し泳いでいたような気がした。 
俺がさらに、そもそもの発端の、あの日の匿名の電話の話をすると妻は、
ほんの一瞬かすかに表情を歪めて 
「…そんな電話があったんだ…あの人かもね、変な女」 
それだけ言うと急に黙りこんだ。 
俺はしばらく無言で待ったが、
妻はそれ以上この話しを続ける気はないようで、何も言わない。 


681: :2010/10/22(金) 19:45:41 ID:
俺はそんな妻の様子が妙で、なんだかだか抜けない棘のような引っ掛かりを覚えた。 
少しの沈黙の後で俺は妻に告げる。 
「俺はもうこれ以上我慢するつもりは無い、
この馬鹿と俺がケリをつけることに何の問題がある?」 
妻は、必死で、そんなことじゃなくて、綺麗に終わりたい、
自分の周りの人達が争う姿はみたくないなどと言っている。 
どうにも説得力の無い妻のその反応に、納得できるわけも無い俺は、
「ちゃんと話しするから心配するな」と告げ、 
再び玄関に向かうと、また妻はすがり付いてきて、必死で「やめて」と訴える。 
いったいどうしてだ?今更あの男に未練があるのか?じゃなければどんな理由がある? 
俺は強い調子で妻に言った「何でだ?」 
俯き、苦しそうに、言葉を探していた妻がやがてぽつりとつぶやいた。 
「…ビデオがあるの…」 
俺は固まった。 
「…おまえ…」」 
怒りのあまり蒼白になりながら俺は妻に詰め寄った。 
「どんなビデオだ…」 
妻は俺と目を合わせないように俯いて、唇をわなわなと震わせて押し黙っている。 
1分、2分、3分、実際にはどれだけの時間だったか定かではないが、
沈黙に耐えられなくなった俺は、 
「やってるところを撮らせたってことか?
何考えてるんだおまえは!何やってんだ馬鹿が!」怒りにまかせて怒鳴りつけた。 
「違う、そんなのじゃない」追い詰められた目で俺を見つめ、必死に否定する妻。 
「じゃあどんなビデオなんだ」そう繰り返す俺。 
再び視線を落とし、苦しそうに妻は説明を始めた。 


683: :2010/10/22(金) 19:48:17 ID:
8月の始めのある時、妻は男に自慰しているところが見たいとせがまれる。 
当然に妻は激しく拒否、しかし男は執拗に食い下がる。 
した事がないと拒否する妻に、
マネだけでもいいからして見せろと言って段々と怒り始める男。 
うんざりして、仕方なく、どうすればいいのか聞く妻に男は、
下着を脱いでベッドに横になり、さらに…細かい動作を指示する。 
妻が不貞腐れながら男の言うとおりにすると、男が携帯の動画で撮影し始めた。 
驚いてベッドから起き上がり、
「やめてよ!」と叫ぶ妻に男は
「いいから、続けろよ、俺が後から一人で楽しむだけだから」 
なおも拒否する妻に、男はいよいよ激怒し始める。 
激怒しながら執拗に要求する男との口論に、
妻はしだいに疲れて、結局最後は男の言いなりになる。 
「ほんの数分のことだし、いやいや真似事しただけだし、
感じるはずなんてないのに、あんなの撮って何が楽しいんだか…」 
急に早口になって弁解している妻に俺は聞いた「顔は映ってるのか?」 
「…片手で顔を隠してたけど、
髪型とか雰囲気とかで、知ってる人が見たら私だってわかると思う…」 
俺は思わず大きなため息を漏らし、ガックリと居間の椅子に座りこみ、頭を抱えた。 
「おまえ自分が何をしでかしたか分かってるのか?
そんな物が公になってみろ、○梨の人生どうなるんだよ」 
「おまえがそんな馬鹿だったとは…がっかりだ」 
俺にそんな冷たい、棘のある言葉を浴びせられながら妻は、じっと俯いて唇を噛んでいた。 
ただ、この時の妻は最後まで泣かなかった、それが妙な違和感となって引っかかる。 


685: :2010/10/22(金) 19:50:02 ID:
妻が言うには、男は自分を残して自殺した母親の事件で精神的に大きなトラウマがあり、 
今日は妻に捨てられたと感じた男が発作的にあんなメールを送ってきたが、
時間がたてば忘れるだろう。 
それに少し心が壊れているだけで、自分に直接的な暴力をふるったこともないし、
悪人というわけではないから、 
こちらが何もしなければ、危害を加えてきたり、
あのビデオを誰かに見せたりはしないはずだと言う。 
しかし俺はそれを鵜呑みにすることは到底できないし、
第一これ以上あの男が妻に付きまとうことに我慢がならない。 
だが結局、今夜のところは、俺があの男にメールを送るだけにとどめておいた。 
妻に、あの男は気が小さくて、臆病なので追い詰めないで欲しいと散々懇願され、 
たった、これだけ、本当はもっと過激に脅したかったのだが… 

「俺は○貴の夫だ、おまえのことは全て聞いている。 
これ以上妻に付きまとうなら、合法、非合法のあらゆる手段でおまえに報復する。」 

はたしてこれで効果があるのかどうか、はなはだ疑問だが… 
ただある意味このメールは俺の本心でもある。 


686: :2010/10/22(金) 19:50:56 ID:
深夜になって気まずいまま俺と妻はベッドに入った。 
当然二人とも簡単に眠れるわけもなく、とりわけ俺は、
男のためにそんなことまでして見せた妻が許せず、 
また、男の前で淫らなショウを演じる妻の姿が何度も浮かび、
いくら考えないようにしても頭から離れない。 
どんどん深みにはまり、苛立った俺は、
そんな俺の様子を怯えたようにそっと窺っていた妻に、 
あの男にして見せたのと同じことを俺にもして見せろと迫った。 
妻は一瞬悲しそうに俺を見つめ、
何も言わずにパジャマを脱ぐと、顔をそむけ、目を閉じて始めた。 
しばらくして、妻の体が小刻みに震えていることに気がついた。 
顔を覗き込むと妻は、閉じた瞼から涙を溢れさせ、
それでも嗚咽が漏れないように懸命に我慢していた。 
俺は妻を抱きしめ詫びた「…ごめん、悪かった」 
妻は俺にしがみつくと、裸の肩を震わせながら、
まるで涙腺が壊れてしまったかのように泣いた。 
俺はそんな妻の頭をずっと撫でていた。 
泣きじゃくりながら妻は「…どうしよう」、「私が馬鹿だから」、
「なんであんなこと…」、「…とんでもないことしちゃった…」、 
そんなとりとめのない言葉を何度も繰り返していた。 


687: :2010/10/22(金) 19:51:47 ID:
どれくらいの時間そうしていたのかわからないが、泣き止んだ妻に俺は言った。 
「なあ、○貴、もう一人子供作ろうか」 
俺がそう言うと妻の目には、再び大粒の涙が浮かぶ。 
「うん…うん」何度もうなずいたあとで小さく「忘れたい」とつぶやいた。 
それが一番いいのかも知れない、再び妻を「女」から「母親」に戻し、
新たに生まれた命に振り回され、心配して、一緒に育てていく。 
日常に翻弄され、忙殺されて、こんな話は過去の些細な出来事、
時がたち妻も俺もそんな過去なんて綺麗さっぱり忘れてる。 
やがてそんな「時」が訪れるかも知れない。 

その夜俺は久々に裸の妻を一晩中抱いて眠った、そして知った。 
妻の体がたった数時間の睡眠の間にも何度か硬直することを。 
結局俺は朝方のほんの2時間ほどしか眠れなかった、目覚めたら左の腕に鈍痛がした。 
俺が短い睡眠から目覚めて居間に行くと、
すでに綺麗に化粧を終えて朝食の用意をしていた妻が、 
少し恥ずかしそうに目を伏せて「おはよう」と言った。 
しばらくすると娘が起き出して来た、妻は元気に甲斐甲斐しく娘の世話を焼く。 
俺はこんな平穏な時間がずっと続けばいいと思った。 


【妻のウワキ】3/3さっき非通知で電話がかかってきた。女性が非常に緊張しながら「…○○さんのご主人ですか?…奥さんウワキしてますよ」だって《不安心理◆xI1NYWPC0DyO》




引用元:https://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1287223582/