578:2013/03/15(金) 09:03:02.49 ID:
バイト先(個人経営の古風な喫茶店で給仕してた)にある日、
「やあ久し振り~♪」と超フレンドリーな客が来た。
久し振りと言われても見覚えがない。
かと言って客の半数が常連のような店だったので「どちら様ですか?」とも言えず
お茶を濁していたら「五年くらい前に一度来たことがあるんだよ」。
覚えてるわけがない。と言うかその頃私はまだバイトに来ていない。
だけど男は一方的に話しかけてくる。
「綺麗になったね~」「俺のこと覚えてるでしょ?」
私が五年前はバイトしてませんと言っても「まったまた~♪」と信じない。
店長や奥さんが「その頃この子いませんでしたよ」と否定しても信じない。
そのうち朝私がいると「おはよう」「行ってきます」だけを言いに店に寄るようになり、
夜も私がバイトに入っているとにこやかに「ただいま」だけ言って帰るようになった。
一点を見つめて動かないじっとりした目つきや、私に向かって話しかけているはずなのに
見えない人に向かって喋っているような空気感のある喋り方も相まって非常に気持ち悪かった。
居心地のいいバイト先だったんだが結局辞めることになり、実家住所が記入してある
提出していた履歴書は私の目の前で焼き捨ててもらった。
その後かなり距離のある実家に帰り、髪型も化粧も服装の系統も全部変えて過ごした。

数年後たまたまその街を訪れる機会があり、懐かしくなって喫茶店に顔を出した。
店長も奥さんも健在で、話が弾んだんだが、私が辞めてしばらくはあの男も来ていたらしい。
「彼女はどこ?」と聞かれても「彼女って誰ですか?」とはぐらかしていたら、
(名札がなかったので男は私の名前も知らなかったらしい)
「そうか、彼女は本当はいなかったんだね…」と呟いて、それっきり顔を見せなくなったそうだ。

大きな被害を受けたわけではないが、思い出すと今でも地味に恐怖を感じる。